「やっぱ…今まで通りに話しかけよう…」



ノンに相談してから言えばいいよね…。


考えながら着替えを済ませた。





コンコン…

「はーい」


ノックの音に返事を返す。




ガチャ


「未裕?ご飯出来てるよ?」


すると祐也さんが顔を覗かせる。


「あ、うん。今行く…」



そう言って腰かけたベッドから立とうとした時だった。



ケータイの着信音が鳴り響く。


「あ、電話……………ぇ…?」


「どした?出ないの?」



祐也さんの問いかけも聞こえないほど、私はビックリしていた。


着信相手が…

榊からの電話だったから……。







「…未裕?出ないと、ずっと鳴ってる」


「あ…うん」



ハッと我にかえり、通話ボタンを押す。



《…矢野?》


「あ…うん、……そ、そうだよ?」



どうしよ…、今、祐也さんが部屋にいる。


祐也さんに聞かれたらどうしよう!

祐也さんの声が榊に聞こえてもヤバいな…。



この状況最悪!!!



すると祐也さんは何を思ったのか、私の部屋に入り、ドアを閉めた。



えっ!?

出ていかないの?


祐也さんはベッドに座って窓の外を無言で見ている。

その少し離れた隣で若干パニック状態の私に榊は言った。



《…その…さっきはゴメン!!》


「…え?」



ゴメン…?


何の?




《き、急にあんなこと…嫌だよな、フツー好きじゃない男にされたら…》



抱き締めてしまった時のこと?




「…あの時は…ただ、ビックリして…」



これは素直な私の感想だった。

嫌じゃない、でも嬉しいとかもなくて…


なんか、複雑だった。





「ずっと…友達だって……お、思ってたから、頭つ…いていかなかったから…から…」


《な、なんか言語変だぞ…》


「っ…だって…」


なんだかこっ恥ずかしい。