「ああ…」


「がっかりした?」

「した。でも今までほどじゃなかったんだよ。4人でもいいか…ってあっさり受け入れちゃってさ…」



「…」


「その上、直子がいらねー気ぃきかして未裕の学祭見に行くとか言い出して…行けば行ったでイライラするし…」



「イライラするって…それは、未裕ちゃんがあの男子に心開いてたから?仲良さげだったからだろ?」



「…まぁ、…うん」



「ははっ…お前それ、完全ヤキモチ妬いてんな」



「は…?妬い……?」



「よーするに、未裕ちゃんが好きってことだろ…?」


「…いや、俺はまだ直子が好きなんだ。これだけは分かる」



意地を張った言い方に呆れぎみになる金沢。




「でも直子も勘づいてるだろうけど…お前の中にいるのは私だけじゃないってさ…」



「……未裕は、俺が拾ったっていう…変な執着があるだけなんだよ、多分。だから気になるんだ。妹みたいな感じ?」



「そっか。…でもお前、未裕ちゃんが来てから、よく笑うようになったよな」



「…そーか?」



「おう。…あ!てか、もうこんな時間だけど、家行ってた方がいいんじゃないの?」


「わっ、そだな!帰るわ!!サンキュなっ」

「またな」


金沢は出ていった祐也の背中を見つめ、呟いた。




「今はは2人とも好きだとしても…いつかはどっちか1人になるよ…。俺は直子で苦しむ祐也より、未裕ちゃんと笑ってる祐也でいてほしい…」



祐也に届かない、小さな声で。




─…