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『子は産まれたのか、カリファ。』
『はい。この子でございます。』
『銀髪か。』
『はい。銀髪です。
だから、だからこの子だけでもっ…』
『わかっている。
だが、カリファ。
お前は母だ。残らなければならん。』
『ですが私は…。』
『それに、お前も幼少の頃は銀髪だったろう。
なぜ血のような赤に染まってしまったのだ。』
『それは…。』
『言えぬか。』
『…申し訳ありません。』
『よい。
とにかくどうするつもりだ。
この子の母はお前だけだ。
うちの乳母に任せても良いが…
残っても良いのだぞ。
と言っても、
この子が二十歳になるまでだがな。』
『別れがよけいに辛くなります。
…それにいっそのこと、親はいなかった事にしてしまえば、この子にも良い気がします。』
『かもしれぬな。
最後にきく。
この子の名は
なんと申す?』
『この子の名は…――――』
この人は
誰と話をしているの…?
それに
この記憶、
生まれたばかりのときの…?
なぜそんな頃の記憶が…?
目を
開けているハズなのに
どこを見ても
真っ白。


