「血のついたハンカチなんかどーするんだよ」
「先生のだから欲しかったのっ!」
先生の、ハンカチ。
血なんて漂白すればなんとか使える。
だから……捨てないでほしかった。
「俺のハンカチがねえ……。本当に変わってるよな、愛川」
「変わってないし」
すると先生は、少し考えるような表情をして、こう言った。
「次の小テスト……100点取ったらもう一枚あげる。俺のハンカチ」
100点……。
猛勉強すれば、難しくもないかもしれない。
幸い、今の単元は得意だし……。
「本当?」
「ああ。なんでもあげるよ」
少しからかうような先生の笑顔。
その笑顔に何度キュンとしたことか。
先生……あたし、頑張るよ。
