「ハンカチなんて、いくらでもやる」
はあ、とわざとらしい溜め息をついて私を見つめる。
……ドキドキしちゃうよ。
先生はあたしを椅子に座らせた。
そして先生は少ししゃがんであたしに目線を合わせる。
先生の視線は、あたしの指に落ちた。
「あーあ……指先なんか切っちまって……。しばらく痛いぜ?」
「あははっ。頭洗うときとか困るね」
あたしは、なるべく傷口を見ないように先生の目を見て言った。
だけど……ひとつ気がかりがある。
ハンカチ!!
先生はあたしの指からほどいたハンカチをゴミ箱に捨ててしまった。
「……ん、どした?」
「ハンカチ!なんで捨てたの!?」
