「……おい!実験中断して!俺、愛川を保健室まで連れて行くから、自習!各自実験をやめて教科書20ページあたりの問題でも解いておいて」
先生はそう叫ぶと、あたしの腕を引いて理科室を出た。
行く先は、保健室。
「血、苦手か……」
「っはあ…………う、ん」
血を見ると、動揺してまともに話せなくなる。
特別、泣き叫んでしまうとかそういう症状はないから、友達には隠しているけど……なるべく、血は見ないようにしてる。
「大丈夫だ。安心しろ」
そう言ってあたしの両肩を手で叩いてくれた先生。
不思議と、過呼吸気味だった呼吸も安定していく。
……――あ。
先生の、匂い。
