突然の夏の出来事だった。

 その日は、午前中で授業が終わり、いつものように学校から帰ってきて家でテレビを見ていると電話が鳴った。

 母がでると、それは青森の伯母からだった。

 受話器の向こうから
  「お兄ちゃんが危篤と病院から連絡があった。
   
   これから病院に行ってくる。

   そうしたらまた連絡する。」と、声が漏れてきた。


 母は受話器を置くと、いったい何がおきているのか?

 どのくらい重要なことなのか?

 まだ把握できない様子だった。

 
 そしてとりあえず伯母が病院に着くまで、1時間はかかると計算し、今やらなければならないことを済ませようと、銀行に行った。


 母が銀行に行っている間に、伯母から電話が入った。

 しかし母が不在だったため、伯母は自分の携帯電話の番号を言うと、電話を切った。

 銀行から戻ってきた母はすぎに伯母に電話した。

 
  「お兄ちゃんが亡くなった。

   とりあえず、今からパパが会社を早退して病院にきて、これからのことを病院に聞いてからまた連絡する。」

 そういうと電話は切れた。

 パパとは、伯母の旦那さんだ。


 電話が終わると、母はいつでも青森に行けるようにと支度を始めた。

 とりあえず必要最低限のものを鞄につめ、いつものように家のことをしながら、伯母の電話を待った。