「えっ?…どういうこと…?」

「言った通りだ。ここはお前の夢の中じゃない。」


「そうだよ。ここは現実世界の一つ。
『生』と『死』の世界の狭間『臨界』。
『生』の世界に未練のある者の魂が留まる場所。」

翔に続いて涼が静かに答える。

「…臨…界…?
…じゃあ、ここにいる私っていったい…?」

「死んだって事だよ。」

翔は信じがたい事をサラリと言ってみせる。

「何ありえないこと言ってんの?
あぁ、そっか…これ夢だから…」

そう言って無理やり自分を納得させる。

「だって翔だってここにいるんだし。
そんなわけ…」

「飲み込み悪い奴だな…
だったら薫は今までにこんな夢見たことがあるのかよ。
自分でもの考えて、自分の意志で動いて話して。
夢の中ではこんな事はできねぇんだよ。
それに涼の顔も俺の顔もハッキリしてるだろ?」

「…でも…でも…」



私は俯いたままゆっくりと首を振る。


「いい加減にしろ!お前は死んでんだよ。
今朝の事故でな!」

翔は怒鳴った。


「今朝の事故…?どういう……」


ドクンッ


身体全体に痛みが走り頭の中にあるビジョンが浮かび上がった。