~親友という名の絆~

確かに翔はいつもよりブスッとした顔してた。

怒っているような悩んでいるような複雑な表情。


そういえば翔って笑うのかな…

笑ったトコ見たことがないし…


イケナイ、イケナイ

話がずれてるよ。



「はぁ~」

軽く溜め息をつく。

「ねぇ薫、そろそろ行かない?」

「へっ!?」

「食堂。もうみんな行ってるんじゃない?」

閉まりかけていたドアに手をかけて、その外を指差す。

「あ……」

遥に言われて思い出す。

早くしないと。

みんなを待たしたら悪いしね。

「んじゃ、行こっか。」

そう言って部屋を出て行く遥の後について私も出て行く。

階段の辺りにはおいしそうなカレーの匂い。

遥は嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。

私は階段を駆け降りていく遥を追いかけていった。