~親友という名の絆~

「…笹木さん、独りだったよね。ケータイかけてたの?」

訊きながら、私の手に握られたケータイを指差す夜野さん

「う…うん…」

とっさにそう答えチラリと薫を見た。


薫の姿は夜野さんには見えていない。


どうして?


……可能性…があるとすれば……



「ごめん、邪魔したね。バイバイ、また明日。」

そう行って夜野さんは駆けていった。






「ねぇ、薫…どういう状態なのか話してくれない?」

走っていく夜野さんに手を振り、薫に向き合い問い掛けた。

『いいよ。でも、ここじゃ…』

薫は私の後ろに視線を逸らした。

何人かの足音がする

「なら、家に来る?」

『うん。』



そして私たちは歩き始めた。



私の家はそこから二つ目の角を曲がった所






今の家には誰も帰ってきていない


私は鍵を開け、薫と自分の部屋に入った