「彩…」
「なに…?」
海斗に呼ばれて、あたしは緊張して返事をする。
「腕……というか手首…?大丈夫か…?」
いつから気付いてたのか、あたしのリストカットした後を気にして海斗が心配してくれる。
「ん……逃げるために切っちゃってた…」
傷跡を見ても心配そうな顔をしてくれる海斗。
海斗はあたしを軽蔑するどころか、どんどんあたしを受け入れてくれる。
「海斗……あんまり…見ちゃやだ…」
「彩……癖になってるだろ…?」
「うん……もうやめたくても、やめられない…」
「そっか…今カッター持ってる?」
カッターなんて…何に使うの…?
壊すつもりなのかな…?
あたしは訳もわからず海斗に、ポケットに入れたカッターを差し出した。
