愛してるのに愛せない



「小四の夏、あたしは学校の帰り道で誘拐されたの。無理矢理、車に乗せられて……目隠しされて手足を縛られて…」




思い出すだけで吐き気がするあの日…。

でも鮮明に覚えてるあの日。


今でも夢で見てしまうあの日。




あたしは、それを海斗に話すと決めたんだ…。


だから…体が震えても話さなければいけない…。



あたしは続きを話す。




「連れ込まれた場所は誰かの家。あたしは、誘拐した人に体を触られて……無理矢理…ヤられたの…」


「まさか……彩がエイズになったのは…」


「そうだよ…。その誘拐犯がエイズで…」


「そんな…そんなのって…」


「それがあたしの過去…。助けられたのは一週間後。保護されたあたしは、いろんな検査を受けて…それでわかったの」


「彩……」





海斗があたしの名前を小さい声で呼んだ…。