愛してるのに愛せない



「髪切り終わったの?」

「いや……なんで?」

「後ろだけ長いから、伸ばすのかなぁって思って」

「自分では後ろ髪がうまく切れなくて…」

「あたしが切ってあげようか?」




…はっ!?

こいつ…髪も切れるのかっ!!
もう…なんでもありだな…




俺は苦笑いで彩にお願いする。



「どんぐらい切る?」



彩が俺の後ろ髪をくしで整えながら、聞いてきた。




「ん~…この辺ぐらい」

「首の真ん中ぐらい?」

「そんぐらいでっ」

「はいはいっ」




彩はハサミを持って俺の後ろ髪を切ろうとする。




「あっ!ちょっと待った!!」




ちょっとだけ不安になり、俺は彩の動きを止める。



「変に切ったら怒るからな?」



一応、念には念を…!!


「失礼なっ!!ちゃんと切るから安心してよ!」

「ははっ」

「ほらっ!前向かないと切れないよっ」

「うぃ」



彩に促され、俺は前を向く。