夢と希望に満ちた高校生活。それは誰もが思い描いていただろう。




なら、今の私はあの頃期待していた「幸せ」を手にしているのだろうか?




だれか教えて。私は、この現実は、「幸せ」なの?




あれから数年、月日は流れ落ちる滝の様に過ぎ去っていった。




新しい友達ができた

先生に恋をした

人を傷つけ、傷つけられ

私はまた少し大人になった。




母校となってしまった高校の門前。




私には中に入る勇気が出てこない。ううん、きっともう二度と入る事はないだろう。




見上げた校舎は通学していた時とあまり変わりない。




なのに遠くに感じる。私が変わったからだろうか。




生徒たちのはしゃぎ声が過去の私たちに重なってしまう。




涙が買ったばかりのミュールの上にぽたりと落ちた。




誰にも見られないように学校名が掘られた壁へと背を預け、私はひたすら涙を止めようと歯を喰いしばった。




あの頃に戻りたい。




太陽で暖められた壁はそのぬくもりを容赦なく私に与え、涙を流させ、そう思わせた。




私はこの涙の理由が分からない。




でも、分からないままでもいいのかもしれない。