「インフルエンザですね。」




試験を終え、行った病院でそう診断された時にはもう意識なんて無いも同然。




車の中で試験がどうだったかお母さんに聞かれても、私は名前を書いたのかすら覚えていなかったので濁すしかなった。




「先生から電話があって……何事かと思ったわ。」




「……………うん。」




当然、面接した事もおぼろ気にしか覚えていない。




落ちていたらどうしよう。




毎日毎日そればかり考えていた。




そしていよいよ通知書が届く日がきた。




郵便屋さんのバイクが家の前で止まる。




「来た!」




慌ててポストを開けてみれば、高校の名前が印刷された真っ白な封筒が一つ。



ポストのフタを閉め忘れたままリビングへと走り、ハサミを探す。




合格だったら案内書とか入っててもっと厚いんじゃないのかと手に汗を握った。




感触としてはせいぜい一、二枚って所。




中身を切らないように慎重に開封する。




中には二つに折られた紙が一枚。決まり文句の挨拶は読み飛ばし、肝心な文字を指でなぞった。




「………合、格。………やった、………受かったっ、受かったぁっ!」