空色パレット

でも、笹河は背が高いからキスなんてできない。


背伸びをしても、全然届かない。


「ほら」


笹河は、あたしを抱き上げて顔を近づけてきた。

…キスって、やっぱ唇なの?

いや、頬でもキスって言うよね。


でも、笹河は唇にしろとでも言いたげに顔をさらに近づける。


これは…いつかできる彼氏。

いつかできる彼氏なんだ。

そうだ…うん。


ドキドキする、苦しくなる。


「目、閉じてくださいよ…」


「わかった」


そう言って、目を閉じた。

あたしも目を閉じて、笹河の唇にあたしの唇をくっつけた。



幼い子供のようなキス。



軽く触れるだけのキス。