空色パレット

ビールとおつまみを持って、さっきの客のところへ。


「ビールとおつまみです」


テーブルに置いて、レジのところにいようと向かっていると、突然…腕を引っ張られた。


「こっちもビールよろしく」


笹河っ。
ニヤニヤしながら、バカにしたような感じであたしに言った。


「かしこまりましたっ」


とびっきりの笑顔で返事をしていたが、あたしは笹河の足を踏んでいたことは誰も気づかない。

ぎりっと腕を力強く握りしめてくる。


離しなさいよっ。
…そっちがその気ならね、こっちにだって考えはあるんだ。


「お客様…痛いです…っ」


その場に座り込んで泣いているフリをする。

笹河は、動揺しながらあたしを抱きかかえてトイレに走った。