空色パレット

しかも、こんなとこを見られたっ。

あたしは、笹河の腕を引っ張って部屋へと逃げようと思った。


「君は?」


お父さんが笹河を見て言った。

笹河、あの時みたいに上手く隠れてよ!


「…蒼空さんの上司、笹河です」


「上司?」


「バイトの…」


「何の?」


いちいち聞かなくていいから。

あたしは、笹河を押して廊下に出した。


「コンビニみたいなものですよ」


「あら、そうなの?蒼空、何も言わなかったんだもん」


言いたくなかったの。

面倒なことになりそうだったし。

お父さんに言えば、あれこれ聞いてくるし。


お母さんに言えば、絶対にくっつけようとするし。




絶対に、言いたくなかった。