空色パレット

どうにかして、笹河から逃れることができた。


はぁ…。


「あ。そういや、あいつが来てたぞ」


「あいつぅ?」


「圭って言ったか?あの野郎…」


「ああ。で、何か言ってましたか?」


不機嫌になっているのは、誰が見たってわかる。


細い眉毛がピクリと動き、手も怒りで震えている。


「…やっぱいいです」


「だよな。俺の口から、聞こうだなんて…ないよな?」


「ええ…」


聞けないでしょ。

聞いたら殴られる気がする。


あたしは、言いかけた言葉を飲み込んで、話を合わせた。