「さて…帰るか。仕事も溜まってるからな」


「何の?」


「見合いの件もそうだし、あとは店の手伝いとかもな」


…面倒だなぁ。
でも、いいか。


「帰りにクレープ食べたいなぁ」


「太るぞ」


「いいんです。ほら、早くっ」


「まったく…」


笹河の腕を引っ張って、外へと向かう。

早く、早く!


「原宿にね、人気のクレープ屋があるんですよ」


「お前の頭の中は、大変だなぁ。いっつも甘いもんしか頭にないんだろ」



いつものようにふざけて、叩きあったりすることが当たり前だったから。



一瞬にして目の前から消えてしまうと、不安で堪らないんだ。