空色パレット

この時、もっと笹河の顔を見てればよかった。


もっともっと、話をしていればよかった。



この日の翌日に、笹河は消えた。



置き手紙が1枚と、ホットケーキが焼いてあった。




『仕事で遠くに行くことになったから、しばらくは帰ってこれねぇ。まぁ、心配すんな。土産買ってくるからよ。それまで、男なんか家に上げるなよ』




綺麗な字で書かれた手紙。

きっと夜遅くにでも書いたのかな。

最後に、でっかく書いてあった。


『覚悟しておけよ』


覚悟って?

何を覚悟しておけばいいの?