空色パレット

ていうか、手紙渡すならあたしいらなくない?


「あたし、誘拐したって意味ないじゃん」


「ある。こうでもしないと、来てはくれまい」


「当たり前だろ」


笹河のせいじゃん!
あたし、関係なかったっ。

笹河の服をつかんで、揺さぶった。


「じゃ、帰りましょうよ!あたし、学校あるんでっ」

「あぁ、そうだな」


笹河の腕を引っ張って外に出ようとした。


「…気をつけろ」


「言われなくてもわかってる」


あたしは、この時気づいたんだ。


冗談なんかじゃなくて。
笑い事じゃなくて。


本当に危ないんだということを。