「…蒼空、本当に鈍感。そんなんじゃ、笹河さん取られちゃうよ」


…取られる?
笹河を…?


「もしくは、あたしが取っちゃうかもよ」


「…」


「冗談」


「…あたし、今日は帰るね」


とぼとぼと歩いて、家に向かった。

笹河は、あんなこと言ってるけど、いつかは結婚するよね。


「…バカみたい」


どうして、こんなに悩まなきゃいけないのか。


「おい、遅いぞ」


「さ、笹河さん…」


家の前に笹河が立っていた。
一気にドキドキする。


「なっ、また頼み事あるんだけどよ」


「…お見合い?」


「ああ。頼むよ」


すごく嬉しそうに笑う笹河。