道の両脇に種々雑多な商店が建ち並ぶアーケードを、一人の男が歩いている。片手に中身が半分程入った酒瓶を持ち、赤く染まった顔に喜怒哀楽のいずれともつかない曖昧な表情を浮かべた酔っ払いだ。あっちにふらふら、こっちにふらふらと覚束ない足取りで進む男を、行き交う素面の人々は迷惑そうに盗み見、誤ってぶつかることのないよう男から距離を置いた。