少女は公園の砂場で子供たちに囲まれていた。

次々と降りかかる砂はときどき少女のつぶらな目に入った。

少女の小さい頬には溢れる涙が流れていく。

公園には少女以外の子供たちの笑い声が響く。



少女は一人砂場に残された。

日はもう落ち始めている。

早く帰らないとお母さんに怒られてしまう。

だが、絶え間なく流れる涙のせいで立ち上がる気力などなかった。



ふいに少女の顔の前に少女と同じもみじのように小さな手があった。

手の平の真ん中に丸いほくろがあった。

少女はそのほくろにすいこまれるようにもみじの手を見つめていた。

その手の持ち主が少女に声をかけた。

少女はゆっくりと顔をあげる。

そこには少年の笑顔があった。

少女は自分の手を少年の手の上に持っていく。

少年は少女の手を強く握った。