「背が高いと、キスしにくくて困るんだよね」


「…っ!?」



もう、絶句して赤面するしかない。


言葉もでない私を尻目に、ハルは構わずに先を行く。

数メートル先で、くるりと振り返り、にっこりと笑う。


そりゃあもう可愛らしい、天使みたいな悪魔の笑顔で。



「早くしないと、遅れるよ。咲良」


「…っ!咲良って呼ぶなって言ってるでしょう!!」


女の子らしくて自分のイメージに合わない本名。


嫌いだから呼ばないでって言ってるのに。


ああ。
でも、変だな。


心の何処かでは悪くないかもって思ってる。



「待ちなさい、ハル!!」


どうやら私は、まだまだ、このダイアモンドみたいにキラキラ輝く悪魔に振り回される運命みたいです。









fin.