「あー、もう分かった。あと5分でそっち行くから」
「そ。早くしてね」


言いたいことだけ言うと、ハルはブツッと電話を切った。


「…俺、女に生まれなくて良かったってつくづく思うわ」


兄貴が心底気の毒そうに私を見つめて言った。
おまけに両手を合わせて拝んでいる。

やめて。
私はお地蔵様でも菩薩様でもないんだから。

それでも。


何故かいつも、私はハルのワガママに付き合ってしまう。

幼なじみの腐れ縁のせいなのか。
私が極度のお人好しなのか。

理由は自分でも分からないけど。