笑顔でノブと別れて、私とハルは家までの道をのんびりと歩いた。


いつものように私の左隣でスタスタと歩くハル。

当たり前の風景が何だかとても嬉しくて、私はこっそり笑った。



「何?急に笑ったりして。気持ち悪いんだけど」


ハルはそう言って私の顔を覗き込むと、ピタリと動きを止めた。



「…何?」


今度は私がハルに尋ねる。
すると、ハルは私の頬にそっと手を置いた。



「ちょっ、何!?」


突然のことに驚いて、私は赤面しそうになる。

ハルにこういうことされるのは、何だか知らないけど、物凄く恥ずかしくて、物凄く心臓が痛い。



「…血、出てる」


あわてふためく私にハルが告げた。


「え!?」



ハルの手を退けて、自分で頬に触れると、ぬるりとした感覚が指に伝わる。



「あーあ」


手を見れば、赤い血がうっすらと付いていた。

大した傷ではないけれど、いつの間にか顔に傷が出来ていたらしい。


「痛くないの?」



ハルに問われ、首を振る。

「別に平気。かすり傷なんてしょっちゅうだし」