「…友達、です。ハルくんもサクさんもオハナさんも、大事な友達です」


「ノブ?」



ハルは大きな目を丸くして、首を傾げた。



「ハルくんが、どういう家の人でも、自分の父親がどんな仕事してようと、友達は友達です。…もっと早く気付けば良かった。酷いこと言って、すみませんでした」


律儀に深々と頭を下げるノブに、ハルは面食らっているみたいだった。

私はベンチから立ち上がってハルの側に駆け寄った。


「ほら、何とか言ったら、ハル?」


そう言って私が肘でつつくと、露骨に嫌そうな返事をする。


「うるさいな、サクは。ちょっと黙ってて」


私を軽く睨んではいるけれど、本当はただ照れ臭いだけっていうのがバレバレ。
つくづく素直じゃないなぁ。



「ノブ、俺の方こそ、色々秘密にしててごめん。…あと、ありがとう」


ハルはそう言って、ノブに片手を差し出した。

ノブは顔を上げてその手を掴む。



「良かったね」


握手を交わす2人の姿に、私は嬉し涙を隠すことができなかった。