ノブはハルを見上げて、ゆっくりとジュースを受け取った。



「…なぜ、ですか…?」


耳を澄まして、やっと聞き取れるくらいの小さな声。

缶を握り締め、今度は少し大きめの声でノブは続けた。



「なぜ助けに来てくれたんですか?…サクさんも、1人でなら簡単に逃げられたのに、自分を庇って。どうして2人はそんなに優しいんですか?自分は…、酷いことを言ったのに…」


吐き出すようなノブの台詞に、ハルは少し驚いたように目をしばたかせた。

それから、フワリとまるで天使みたいに笑う。



「…ノブと友達になりたかったから。本気でそう思ってたから」


今度はノブが驚いたようにハルを見た。



「…でも、もうノブには近付かないから安心していいよ。変なことに巻き込んで悪かった。あ、けど、サクとオハナは関係ないからさ、仲良くしてやってよ」



そう言って、ハルは1人で公園を出て行こうとしていた。


待って、ハル。


私がそう呼び止めるより早く、ノブはハルの腕を掴んだ。