「ハル、ノブ、ちょっと一休みしよう。さすがにここまでくれば警察に事情聞かれることもないでしょう」

どれくらい走っただろう。閉じ込められていた倉庫からはかなり離れた小さな公園で、私たちは休憩することにした。


3人並んでベンチに座ると、私は思わずホッと息をついた。


さっきまで、生きるか死ぬかの瀬戸際にいたというのに、空を見上げれば、そんなことは関係ないとでも言いたげに、星が輝いている。


気付けば、いつの間にやら席を立っていたハルが、缶ジュースを3つ抱えていた。



「ほら」


素直に受け取って、プルトップを開ける。

私が大好きな、100%のオレンジジュース。
何だか、心を見通されてるみたいで癪だけど、相手はハルだから仕方がないのかもしれない。



「ノブ」


ハルは珍しく、少し遠慮がちにノブにもジュースを差し出した。


そういえば、色々ありすぎて忘れてたけど、この2人、かなり気まずい状況だったんだっけ。

私はハラハラしながら黙って2人を見守った。