「悪いことは言わないから俺たちを解放して、さっさと逃げた方がいい。全員揃ってブタ箱入りになりたくなかったらな」


「…っ!」



権藤は悔しそうに舌打ちすると、仲間たちに目で合図を送った。

すると、誰もが我先にと出口へと走り出した。

どうやらこいつらも、ブタ箱入り、つまり刑務所に入るのは嫌らしい。



「おい、権藤」


無言の背中に、ハルは声をかけた。



「仏の顔も三度までって言うが、ウチには次はねぇぞ。今度顔見せやがったら、全員簀巻きにして東京湾に沈めてやるからよぉく覚えておけ」


冗談なのか本気なのか。

恐ろしい台詞をさらりと言ったハルに、権藤は何も答えなかった。


けれどたぶん、もう権藤の顔を見ることはないだろう。

ハルを本気で怒らせたらどうなるか、相当の馬鹿じゃない限り分かるはずだから。


パトカーのサイレンがまた近づく。


面倒なことになる前に、私たち三人も、早々にその場を抜け出した。