「こいつら、いつの間に縄ほどきやがった!」


「お前ら、何してる!さっさと捕まえろ!!」



焦った権藤と仲間たちを尻目に、私たちは次々と敵を蹴散らしていく。


ハルと私は得意の武術で。ノブは、その辺に転がっていた木の棒を竹刀代わりにして見事な剣道を繰り広げていた。



「あー、スカッとする!」

「相変わらず体力馬鹿だね、サク」



こんな状況なのに、久しぶりに聞いたハルの減らず口は、やっぱり何だかいとおしい。



「でも、さすがに3人でこの人数は辛いか…」


相手はざっと見て十数人。私が呟くと、ハルの不敵な笑いが聞こえた。



「それなら大丈夫。もう手は打ってある。…そろそろかなぁ」


「?」



やけに楽しそうなハルの台詞に、私は一瞬手を休めた。



「何か、聞こえない?」


ハルの言葉に、耳を澄ます。
もちろん、敵を倒すことは忘れずに。


すると、微かに聞き覚えのある音が聞こえてきた。

その音は、少しずつ少しずつ、こちらに近づいてくるようだった。