「サク、携帯鳴ってる」

「うん」


乱暴にカバンから携帯を取り出して着信を見ると、またため息が出た。


小さな画面の中で、『ハル』の二文字が点滅してる。
嫌々ながらも通話ボタンを押した。


「はい、もしもし。ハル?」

「他に誰がいる?出るなら3コールで出てよね」

「あのねぇ。私だって色々忙しいの!」

「どうせまた朝稽古でもしてたんでしょ?本当、体力バカだよね」


こいつ、一度一本背負いでもしてやろうか。

携帯を握り潰す勢いの私に、ハルは平然と続けた。


「学校行くからさっさと迎えに来てよね」

「あんたね、たまには1人で行ったら?」

「だって舎弟の奴等がサクがいないならボディーガード付けるって。そんなのウザイじゃん?」


つまり私はボディーガード代わりってこと?

女なのに?

確かに、身長高いし、男顔だし、ハルといると性別逆に見られるけど。


それでも曲がりなりにも、女なんですけど?