「さて。お話し中、恐縮ですが、そろそろお時間のようですね」


突然、倉庫の扉が開き、権藤がたくさんの舎弟を引き連れてやって来た。


「さすがの姉御も、お友達がいると大人しいもんだ」

そう言って私の耳元で笑う。

あまりの腹立たしさに、そのまま噛み付いてやろうかとも思ったけれど、何とかギリギリのところで踏み留まった。



「ずいぶん余裕だね。ハルが仲間連れてくるとは思わないの?」


「それはありませんよ。あの人は本物の極道ですから。約束を破るなんてことはあり得ない」


「それを分かってて、あんたは汚い真似するわけ?」

「それもまた極道でしょう?…ああ、ほら来たようですよ。時間ぴったりだ」


権藤の言葉と共に、もう一度、扉がギイッという鈍い音を立てて開かれた。


もうすっかり薄暗くなった外の景色の中に、一つの影。


顔なんて見なくても、すぐに分かる。


それは、ハルの影だった。