私がそう答えると、ノブは急に黙り込んだ。


「…どうしてですか?」


「何でも私のお節介に嫌気が差したとか」


「そんな!酷いです!!」

「やっぱり、普通はそう思うよね」


私はそう言って、小さく笑ってから続けた。


「でも、そうじゃないんだよ?」


「…え?」



そう。
本当の理由は、たぶんそうじゃない。

私は昨日と今日、ずっと考えていたことを、口にした。



「…私が婚約者だと、ノブはハルだけじゃなく私のことも避けるでしょ」


「…」


「だからあいつ、わざとあんなこと言ったんだと思う。ハルは昔からそう。素直じゃなくて我が儘で、だけど本当は凄く優しい」



分かりにくくて面倒で。

でも、私にとっては大切な人だ。


それに気が付くのが、少し遅かったかもしれないけど。