「サク、もういいや」


何かを諦めたような表情でハルが言った。



「…ハル?」


嫌な予感がする。

そしてたぶん、その予感は的中する。


だって、ハルが組の恥になるようなこと、許すはずがないんだから。



「ハルくん?」


ハルはノブの方をちらりと見ると、寂しげに微笑んで真っ直ぐに進んだ。



「サク、オハナ、ノブのことよろしく」


「ハルくん、何を…」



戸惑うノブを、私とオハナとで抑えた。

ハルの邪魔にならないように。


「2人とも離してください!ハルくんが危ない!」


「ハルなら大丈夫。だって、」


「おい」



私が話すより早く、ハルがチンピラたちに声をかけた。


いつもと変わらないポーカーフェイス。
でも、私には分かる。

ハルはかなり怒ってる。



「さっき言ったこと、もう一度言ってみろ」


チンピラは、突然現れた美少年に一瞬、面食らっていたけれど、すぐにからかうような口調で喋り始めた。