万年帰宅部の私やハルと違って、オハナはテニス部の副キャプテンだし、ノブも編入してすぐに剣道部に入部したらしい。



「2人とも偉いね。なんか呑気にご飯食べてて申し訳ない」


私がそう言うと、オハナとノブは声をたてて笑った。


「せっかくだから、お茶でもしていく?」



ハルの意見に賛成して、4人でファミレスにでも入ろうとした時、ふいに嫌な声が耳に飛び込んできた。



「ふざけんじゃねぇ!!」


どうやらどこかで言い争いをしているらしい。

繁華街ではよくある光景だ。


触らぬ神に祟りなし。


見てみぬふりをして通り過ぎようとすると、ふいにノブが立ち止まった。



「…ノブ?」


私が名前を呼ぶと、ノブは決心したような表情で顔を上げた。



「自分、ちょっと様子を見てきます」


「何言ってんの!?危ないよ?ほっとけばいいじゃん!」


オハナが慌ててそう言った。