「何で馬鹿なの?事実じゃん!なんてったってサクはハルの婚…」
「オハナ!」
婚約者という台詞をオハナが言うより早く、私はその口を塞いだ。
冗談じゃないよ。
学校にハルとのことがバレたら、今まで以上に女生徒たちに白い目で見られてしまう。
「んん!んかったから、んなしてっ!!」
肩をバシバシと叩かれ、私はパッと手を離した。
オハナはゼェゼェと荒い息を整えている。
「…サ、サクの馬鹿力…!ちょっとは手加減してよね」
「ごめん!でも元はと言えば、オハナが下らないこと言うからじゃん!」
そう。
本当に下らない。
私がハルを愛してる?
どこがどうなってそうなるのよ。
「何で?別に普通のことじゃん?サクはハルのこと好きでしょう?」
「いや、好きっていうか…」
「じゃあ嫌いなの?」
「いや、嫌いではない、けど…」
曖昧な返事をしながら、私は困り果てていた。
けれどオハナはそんな私に構うことなく続ける。