私が言っても無駄だけど、ハルが一言嫌だと言えば、誰も逆らうことなんて出来ないだろうに。

私は一つ息を吐いてから答えた。


「今さらそんなこと言われなくたって、アンタん家が金持ちなのはよく知ってる」


何てたって徒歩2分の隣家だもんね。
しかも馬鹿みたいにでかいから、めちゃくちゃ目立つし。


「えー、じゃあ何が不満なの?俺、よく分かんないなー」

明らかに棒読み全開でハルが可愛らしく小首を傾げる。
あー、ここで一発殴ってやれたらどんなにスッキリするだろう。

でも無理だ。
何故なら彼は一。


「お帰りやし、三代目ぇ!」

「うん。ただいま」

「姉御もお務めごくろうさんです」

「…あー、うん」