「そうです!よく分かりましたね」


「声、かけなくていいの?」


ハルがそう聞くと、ノブは首を振った。


「いいんです。張り込みの邪魔したら怒られるし」


「そっか、張り込みね。張り込み、張り…張り込み!?」


私は思わずそう突っ込んでしまった。


だって張り込み?
張り込みって…。


「ま、まるで警察官みたいな仕事なんだね」


引きつった笑顔のまま続けると、ノブは極当たり前のことのように言った。


「みたい、じゃなくて警察官です。というか刑事」


一瞬、頭の中が真っ白になった。


慌ててハルの様子を窺うと、いつも以上に無表情で能面みたいな顔をしてる。

でも、無理もない。

極道にとって、警察官なんて天敵以外の何者でもないんだから。


「…確かに警察官も公務員だもんねぇ」


私たちの事情を知っているオハナは困惑しながらもそう呟いた。