「やったー!じゃあ決まり!!今日の放課後にカラオケなんてどう?私、割引チケット持ってるし」


オハナはそう言って、鞄の中から紙切れを取り出して見せた。


「自分はどこでも大丈夫です」


「それじゃあ決まりでいいんじゃないの?サクの音痴さ加減はかなり笑えるし」

「…ハル」



本当にもう、こいつはいちいち一言多いんだから…。
そりゃあ確かに音痴なのは認める。
認めるけれども。


「まぁまぁサク。押さえて押さえて。青筋立ってて怖いから」


オハナに諭されて、私はハッと我に返った。

いけない。
危うくハルのペースに巻き込まれるところだった。


「そうだよね。ノブの歓迎会だもん、楽しくやらなきゃね。バカに構うのは止める」


「誰がバカ?この間のテスト、俺が勉強教えてやらなきゃ完璧に補習組だったくせに」


「そっ、それとこれとは話が別でしょうが!!」



「本当に仲が良いんですね」


「「どこが!?」」


あまりにも穏やかに染々と呟かれたノブの言葉に、私とハルの声が見事に被ったのは言うまでもなかった。