黒髪・短髪に高い身長。

まさしく日本男児。


その日本男児は軽く頭を下げると、低めの声で挨拶をした。


「伊勢忍【いせしのぶ】です。よろしくお願いします」


「はい、よろしく。じゃあ伊勢の席は右側の一番後ろ。神宮寺の隣な」


担任の指差した先は、ハルの隣。


大丈夫かな。

私は思わずハルの方へ目をやった。


ハルは、昔から極度の人見知り。
しかも自分の気に入らない人とは絶対に話さない。


「ハルの隣なんて、あの編入生、ついてなーい」


まだ興味津々といった様子でオハナが言う。

私もハラハラしながら、席へと向かう編入生を眺めた。


ところが。


「あれ?なんか普通?」


編入生とハルはにこやかに話をしている。

珍しい、と言うか奇跡だ。

「何者?ハルに一発で気に入られるなんて…」


私とオハナは、お互い目を合わせて首を傾げた。