「えー、今日は授業の前にちょっと話があるぞ」


いつもより早めにやって来た担任の声に、騒がしかった教室が一瞬だけ静かになった。


「実は、今日からこのクラスに編入生が入る。皆、色々と教えてやってくれ」


編入生。

その一言で、途端に教室中がまたザワザワとし始める。

後ろの席のオハナは私の背中をつついて、満面の笑みを浮かべた。


「ね、本当だったでしょ?」


「うん。相変わらずオハナの情報網は凄いね」


そう答えて前を向くと、教室の引き戸が開かれた。

そこから、この学校のブレザーではなく、黒い学ランを着た少年が少し遠慮がちに現れた。


「やだ。けっこうカッコいい…」


後ろから、オハナの小さな呟きが聞こえた。


でも確かに。

私は決して面食いではないけど、その編入生は文句なしに顔立ちが整っていた。
ハルが綺麗で美しい美少年だとしたら、編入生は男らしい美男子っていう感じだ。