そう言ってハルは興味なさそうに足下の小石を蹴った。


こいつはワガママな上に素直じゃない。
物凄く、ひねくれてる。

菊ノ井のこと、気に入ってないのなら、自尊心の強いハルが頭を下げたりするはずないじゃん。


「本当、素直じゃないんだから」


「何?何か言った?」


「いーえ。何でもありません」


私がそう答えると、ハルは少しだけ首を捻って歩みを進めた。


私たちの家がある地区から高校までは、そう遠くない。
ゆっくり歩いても、20分もあれば到着する。

通学路をハルと並んで歩いていると、向こうの方から手を振る少女の姿が見えた。


「サク、ハル、おっはよう!!」


「おはよう、オハナ」


そう答えたのは私。


「オハナ、朝からテンション高過ぎ。ウザイ」


そう言って耳を塞いだのはハルだ。

それでもオハナは決して怯まない。