潤が痛そうに自分の頬を押さえる。
「あんた最低!!何してんのよ!?今まで夢夏をだましてたってわけ!?」
「まあ、そうだな」
飄々という潤にまた奈美ちゃんは掴み掛かる。
「あんたらは両思いだったんでしょ!?全部嘘だったってわけ?なんでよ!夢夏はあんたが好きだった、だから努力して振り向いてもらえるようにして…
ここまできたのに、全部付き合ってあげただけだっての!?」
「ああ」
「っ!もう夢夏に近づくな!」
奈美ちゃんがあれだけ言った。
その事に、自分の彼氏を馬鹿にされたみたいで嫌になった。
こんな酷いことされたのに…
なんでここまで庇うの…?
私は……
騙されたのに……
そう心の中で呟くと、今まで信じられなかった現実が、次々と迫ってきた。
次々と、涙がこぼれ落ちた。
頬をつねる。
そう、これは、
現実…なんだ…
―――奈美ちゃんの家。
「うっ…」
そこには泣いてる私がいて、
「ごめんね…夢夏…」
私に謝る奈美ちゃんがいた
なんで謝るの…?
奈美ちゃんは悪くないのに…そう言いたいのに言えないのも現実だった。
伝えなきゃ…
ありがとうって…
「奈美ちゃん…」
「なに?」
「…ありが…と…ぅ」
言った途端にあふれる涙。
奈美ちゃんは私をそっと抱き締める。
「夢夏、潤は忘れなよ」
「…」
うん…っていえない自分に腹が立った。
私が…もっとわかってれば、こんな苦しくなんなかったかな…?
私はその夜、ずっと暖かい奈美ちゃんの腕の中で、
思いを打ち消すように泣いた……
もう騙されないって、
そのために…好きな人は作らないって…
そして好きな人は作らないために、
男子を避けるようになった
みんな…
同じだから……