Wolf..





その日を境に、まりちゃんとはあまり話さなくなった。

元々、運動が大好きだった俺は、休み時間にグラウンドへ出て、男子たちと遊んだ。



「いっけぇぇ!!」



俺がキーパーのとき。

男子が力強く蹴ったボールが、思い切り俺の頬に当たったことがあった。



「いたっ!!強っ!」


「へへっ、わりぃな♪」



ピリピリと頬は痛んだものの、何故か心が晴れ晴れとしていた。

変に気づかう様子もなく、何事も無かったかのようにゲームを続ける。



それから気づいたことだけど、女の子って何かとネチッこいところがあるんだ。

いつだかのドッジボールのとき、女の子の顔にボールがぶつかった。


「イタいよー!」


その女の子は、あまりの痛みに、泣き続けた。

あとから、女の先生が現れ

「女の子の顔に傷跡が残ったらどうするの!」

なんて、ぶつけた男子にこっぴどく叱っていた。


痛みなんて、すぐに晴れる。

傷跡なんて、女子だけじゃなく男子だって嫌に決まってる。


“女子”という、くくりが嫌いだった。



今思えば、ただ、男子の潔さとかが羨ましかったのかも。


結局俺は、毎日男に囲まれながら生きていたからか

こんな姿や、こんな口調に育ってしまった。