Wolf..





「健太!サイテーっ!!」



ある日のこと。

給食の時間に、些細な衝突が起こった。


同じクラスだった健太が、まりちゃんの服に、誤ってシチューをこぼしてしまったのだ。


まりちゃんは「サイテー」とわめく。

大きな声は教室に響き、クラス中がどよめく。



「まり、ごめんね…。」



バツの悪そうに俯く健太。

クラスのみんなは野次馬となって、余計に健太が気の毒だった。



「謝って済むならケーサツはいらない!」



覚えた言葉はすぐ使う。

その言葉は、健太の心にグサッと刺さったのだろう。

健太はさらに顔を俯かせた。



「やー…、最悪ー」



俺はそのとき、小さいながらに、まりちゃんのヒステリックさに気づいたのかもしれない。



「まりちゃん。サワぐ前に、服のヨゴレ取れば?」



首を傾げて俺は言った。

何故かプルプルと震えるまりちゃん。