家に向かう途中に、俺は郁哉と他愛もない会話に花を咲かせていた。
郁哉の学校は龍んちから近いから、龍んちから通ってること。
(家庭の事情は分からないので、あまり聞かなかった。)
そして、今日は早く起きてしまったから、学校に行ったと言った。
「郁哉、悪いヤツだなお前。俺、遅刻はするけど毎日通ってるよ?」
「だってつまんないもーん。」
落書きだらけの鞄を振り回して言う郁哉は、なんだか少しばかり寂しそうだった。
ただの俺の思い込みにすぎないが。
「ほら、入れよ。」
「う、うん。」
鍵を閉めていない龍の家に、俺たちは勝手にお邪魔した。
