徒歩10分程度で着く中学校。
さびれた門には【市立緑川中学校】とデカデカと記されている。
その綺麗な字体とは裏腹に、紋章の隣には、スプレーで描かれたイタズラ書き。
意外にも、きちんとした絵になっていて、それはそれで美しい。
「ねむ…………。」
休み時間、毎回外へ出てサッカーをするせいか、土で靴は汚れている。
重たい足取りで、【3−B】へ向かう。
着いた矢先、俺の目に映ったのは、生活指導の小笠原。
「遅れましたー」
躊躇するワケにもいかず、しょうがなく教室の扉を開けた。
「おい深山(ミヤマ)。何時だと思ってる?」
「10時半。」
俺と小笠原のヤツを、ヒヤヒヤと見るクラスの視線がカユい。
お父さんは「叱られてこい」とか言ってたけど、ぶっちゃけ怖くもなんともない。
ナメきった俺の態度に感づいたのか、急に小笠原は、わめき始めた。
「なんだその態度は!!遅刻したヤツの態度じゃねーだろ!!」
クラスのヤツらは、楽しそうに見物する。
状況をはやし立てる口笛も聞こえた。
